NTKインターナショナル株式会社

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INTERVIEW

私たちが精度を高めていければ、
業界の発展に貢献できる。

NTK COX CALIBRATION CENTER センター長 奥本 俊之
入社以来校正のオペレーターとして精度の向上に寄与している。また不確かさの評価についても携わり、ISO17025の取得に貢献した。気象予報士および品質管理検定(QC検定)1級の資格を保持している。

「ISO/IEC 17025」という客観性のある証明

センター長 奥本イメージ

私たちが在籍しているNTK COX CALIBRATION CENTERでは、校正の内容や結果の信頼性に対する保証を求められることが当たり前になってきています。つまり、「精度の高い校正をしています」と言うだけでは不十分で、「客観性のある証明」が必要だということです。
NTKインターナショナルは、権威ある認定機関(独立行政法人製品評価技術基盤機構)から当社の品質システムや校正技術能力が国際規格「ISO/IEC 17025」の要求事項に適合していることを認定されています。

「校正所認定」とも呼ばれるISO/IEC17025は試験や校正の結果が信頼できるものかどうかを判断するための世界基準であり、この認定を受けているという事実が「客観性のある証明」になっています。

「不確かさ」が導く確かな校正

ISO/IEC 17025で大きなポイントとなるのが、トレーサビリティ(追跡可能性)です。例えば、お客様から預かった航空機用流量計を校正するとします。校正とは「対象となる計量器を標準器と比較しながら適切な値を付けていく作業」ですので、標準器はその流量計よりも優れた機器でなければなりません。そしてその標準器は、更に上位の標準器で校正を行う必要があります。こうして上位の標準器をどんどん遡っていくと、各国の標準となる「国家計量標準」に行き着きます。この国家計量標準に至る校正の連鎖を遡って追跡できることがトレーサビリティが確保された状態です。

校正の重要な考え方の一つに、「不確かさ(uncertainty)」があります。不確かさは測定値のばらつきを数値化した尺度のことで、「真の値を求めることは不可能に近い」という事実に立脚した「得られた値がどの程度不確かなのか」を示す指標です。「不確かさ」が明確でない測定は、トレーサビリティの根拠に欠けると判断されます。ISO/IEC 17025に準拠した校正証明書の発行には、この「不確かさ」を記載する必要があります。

「不確かさ」を計算するためには、校正の結果に影響を及ぼすあらゆる要因を定量的に確実に把握しなくてはなりません。これらの要因は温度、動粘度、再現性等多岐に渡りますが、当社でもこれらの把握のために様々な要因を洗い出し、膨大な実験と解析を繰り返す必要がありました。これらの地道な作業は、我々が行っている「校正」というものをより深く理解させるものでもありました。「不確かさ」を把握し、またこの値を小さくしていく努力を続けることが、確かな校正に繋がると考えています。

私たちのこだわりと展望

センター長 奥本イメージ

最後に、NTK COX CALIBRATION CENTERが国内で校正することのメリットについてお話ししたいと思います。私たちが流量計をはじめとする製品を輸入しているのは主にアメリカですが、お客様はほとんどが日本国内です。アメリカのCOX社に校正を依頼するとなると、まず翻訳・通訳や納期調整の手間が発生します。そして製品の輸送にも時間がかかります。日本とは違い、現地での配送トラブルのリスクもあるでしょう。そして何より、お客様の細かなご要望に対応することが難しくなります。こうしたデメリットを考慮し、私たちは国内での校正にこだわっています。

今後は航空業界からの民需がアップしていくと考えられ、エンジンメンテナンスなどの部分では質の高い流量計のニーズも増えています。そういった中で私たちが校正の精度を高めていければ、航空業界の発展や安全性の向上に貢献できるはずです。わずかなミスが大事故につながるだけに責任も大きいですが、すべての従業員が技術的研鑽を積み、使用する機器の進化に適応していくことで、プロとしての専門性を継続して発揮できると信じています。